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車の技術を活かした製品や展示が盛りだくさん! 西三河最大のものづくり展示会「第9回 とよたビジネスフェア」レポート

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愛知県豊田市で3月15日〜16日の2日間、西三河最大のものづくり展示会「第9回とよたビジネスフェア」が開催されました。

 

展示会が開かれた豊田市は、大手自動車メーカーのトヨタ自動車が本社を構える地域。そのため、地元自動車部品メーカーの出店が目立ち、車にまつわる生産品の展示を数多く見ることができました。

 

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会場の外には、トヨタ自動車博物館から借りてきたという1931年の「ライレーゲームコックスペシャル」が展示されていました。青いボディとシャープなフォルムがとてもカッコいい!

 

今回のイベントにはミスミのものづくりプラットフォーム「meviy」も出展。現地にmeviyスタッフが潜入し、気になった展示を紹介していきます。

 

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全部で106社の企業や団体が出展。場内では、来場者と出展者による意見交換や活発なコミュニケーションが行われていました。

 

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真っ先に目に留まったのが、美しく磨きあげられたカクテルシェーカーでした。これを作ったのは、自動車部品メーカーの横山興業さん。自動車部品製作のノウハウを生かして何かできないかと考えたのがきっかけで、カクテルツールやテーブルウェアなどの製作に乗り出したそうです。

 

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こちらのドリンク用タンブラーは一見同じように見えますが、よく見ると左と右では内部光沢が違います。担当者は「実はここに自動車部品で培った研磨技術が活きているんです」と説明してくれました。

 

左のタンブラーは内部を縦方向に研磨し、表面の凸凹を極限まで減らすことで飲み物の泡立ちが良くなるように工夫したもの。ビールや炭酸の飲み物がよりおいしく楽しめるのだとか。一方、右のタンブラーは内部を横方向に研磨し、飲み物を撹拌したときにより混ざりやすくしたもの。こちらはウィスキーやリキュールの水割りに向いているそうです。

 

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同社代表の横山栄介さんは「現代は昔に比べて、ものづくりを取り巻く環境がどんどん変わっています。これまで培った技術を使って何か新しい価値を持った製品を生み出せば、より自社の強みを内外に伝えられるのではないでしょうか。また、B to Bビジネスの枠から飛び出し、新たにB to Cビジネスの流れを開拓することも視野に入れています」と話してくれました。横山興業の製品は、一般向けにこちらで販売しています。

 

 

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総合自動車部品メーカー・アイシングループさんのブースには、クルマのエンジンの回転速度に応じて変速比を自動的に切り替えるオートマチックトランスミッションが展示されていました。

 

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アイシングループは自動車部品を生産するアイシン精機を中心に、鋳造専門のアイシン高丘や化成品・樹脂部品の製造を専門とするアイシン化工など、主要14社のグループ企業です。自動車部品製作で総合的に培った技術を用いて、住生活やエネルギー関連事業に進出しています。

 

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こちらはガスマイホーム発電システム「COREMO」。ガスエンジンで発電した電気を家で使用し、発電に発生した熱をそのまま暖房に使用するシステムです。

 

担当者は「自動車におけるエネルギー効率技術のノウハウが生かされている製品です」と説明。ブースにはその他にもマットレスや空調機、スピーカーなどが展示され、自動車部品の多面的なノウハウが各所に生かされていました。

 

 

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ぶら下げられたイノシシのぬいぐるみが一際目を引いていたのは、車両生産設備の設計や車両の特装を手がける新明工業さん。猟師が山で狩猟をした際、獲物の解体処理に使うことを想定して制作された特装車、その名も「ジビエカージュニア」です。こちらは長野トヨタ自動車が企画し、新明工業が試作したもの。2016年に作られた大型の「ジビエカー」を小型化し、狭い山道に対応しました。

 

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捕獲した獲物を処理する車内に水タンクや空調設備をそろえ、捕獲した獲物をスムーズに処理・運搬できるようになっています。これまでは運搬途中に肉が傷んでしまう問題もありましたが、このクルマならそういった問題は解消されそうです。ジビエカーと連携することで、狩猟活動がよりスムーズになることが期待されます。

 

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車両には、獲物を吊るして運ぶクレーンを装備。狩猟人口が減り、野生鳥獣被害が深刻化している昨今、こうした特装車があれば狩猟もしやすくなり、新鮮でおいしい肉が食べられるようになりそうです。まさに願ったり叶ったりのこのクルマは、今回の展示品の中で一番グッときました。

 

 

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近距離移動を想定して作られたトヨタ車体さんの超小型EV「COMS」(コムス)。電気を使っているので走行時のCO2排出量はゼロという、クリーンでコンパクトな一人用小型電気自動車です。小さなボディがとってもかわいい!

 

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車内はこのようなコンパクトな作りになっています。家庭用のコンセントで充電でき、1回の充電で約68kmの走行が可能。一般利用はもちろん、企業のデリバリー車や営業車としても導入が進んでいるそうです。

 

 

実は豊田市では、すでにCOMSのシェアリングサービス「Ha:mo RIDE」が始まっており、観光やお出かけなどで使用されています。豊田市に訪れたときは、ぜひ試してみてください。

 

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そしてこちらはミスミグループのブースです。3次元ものづくりソリューションサービス「meviy」の説明やデモンストレーションを実施していました。足を止める来場者も多く、積極的な意見交換が行われていました。

 

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デモンストレーションを見てパンフレットを受け取ってくれた来場者も多く、興味をもってもらえたようです。meviyがものづくりに関わるみなさまのお役に立てれば幸いです!

 

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ミスミブース内では、豪華賞品の当たるガラポン抽選会が開催されていました。特賞はいま流行りの「Google Home」。当選された方はおめでとうございました!

 

 

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会場でひときわ異彩を放っていたのが、ものづくり創造拠点「SENTAN」さんのブースです。右は椅子に座って移動するモビリティのようですがが、左のホウキのようなものはいったい……?

 

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こちらは、ホウキ型モビリティ「ext-broom」でした。インラインスケートを装着してまたがり、手元でアクセルとブレーキを制御しながら軽快に移動することができます。「ハリー・ポッター」シリーズで登場する架空の競技「クィディッチ」をイメージして作られたそうです。

 

 

実際に動いている動画はこちらから。なんだかとても楽しそう! ハリー・ポッター作品が好きな人はもちろん、コスプレイベントなどにも向いていそうです。

 

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こちらは空飛ぶクルマを作るプロジェクト「CART!VATOR」の展示。マンガやアニメの中で表現されていた空飛ぶ自動車は、もうすぐ近くにまで来ているのかもしれません。トヨタグループから支援を受けており、今後の展開が楽しみなプロジェクトです。プロジェクトの活動概要はこちらへ。

 

まとめ

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クルマを中心とした今回の展示会。会場内をひとしきり見終わってうろうろしていると、トヨタの名車「トヨタ2000GT」が! 間近でじっくりと眺めることができ、大興奮でした。

 

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豊田市内はトヨタ自動車が本社を構える街だけに、EVやハイブリッド車の充電施設が用意され、街全体でのクルマへの興味・関心の高さを感じました。

 

自動車部品だけではなく、製造過程で培った技術を使って新たな製品を作る会社が多く見られ、より次世代に向けてものづくりの射程を広げていることがうかがえました。自動運転やEVなどの技術革新でクルマもどんどん進化していき、未来に向けてのものづくりに大きな展開が期待されます。これからの豊田市のものづくりから目が離せません!

 

(神田匠/ノオト)

 

第9回とよたビジネスフェア
http://www.toyota-bizfair.jp/