ITは業務生産性と品質向上をどう実現するのか?  「ISID金型・加工ユーザコンファレンス2017」レポート

 

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株式会社電通国際情報サービス(ISID)品川本社で2017年5月18日、「ISID 金型・加工ユーザコンファレンス 2017」が開催されました。

同コンファレンスは、金型および加工系の業務生産性と品質向上を主題としたイベント。主催のISIDは、金融業や製造業、サービス業など、幅広い業種にITソリューションを提供している企業です。金型・加工の分野において、どんな課題やその解決方法が見えてくるのか。実際の会場を訪れてみました。


 

来場者数は88人。トークセッションが始まる前の展示会場はご覧のように大勢の人でごった返しに。

 

コンファレンスは出展企業による展示会と、企業代表者によるトークセッションのふたつに分かれていました。

 

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展示は全部で19点。「金型工程管理」など、ソリューションの目的ごとにそれぞれ分かれています。トークセッションが始まるまで、いつかのブースに立ち寄ってみました。

 

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こちらは株式会社シー・アイ・エム総合研究所の「Dr.工程Family」。金型作成の際、3Dデータに付加された加工工程・加工指示情報を金型工程管理と連携させることで、販売・製造・購買業務をワンストップでサポートするシステムです。工期短縮、業務の最適化を目的としています。

 

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そしてこちらは、株式会社ミスミが提供する金型部品の見積・発注ができるオンラインサービス「meviy」(メヴィー)のブース。紙図や型番がなくても、3D CADデータをアップロードするだけで、その場ですぐ金型部品の見積・発注が可能になりました。

 

このシステムの大きな特徴の1つが、公差【※】の自動付与。3D形状の特徴に基づいて自動算出するため、紙図面による公差寸法指示は不要なのです。公差寸法はWebブラウザ上で3D表示・確認でき、その数値を変更することも簡単にできます。まさに、次世代ものづくりプラットフォームですね。

 

【※】機械加工で作られる工作物において、許容される誤差の最大寸法と最小寸法との差。

 

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会場では、出展者と来場者との間で積極的な質問や意見交換が行われました。その場で名刺を交換することで、金型・加工分野における横のつながりを促すのも同コンファレンスの狙いです。まさに、企業と企業をつなぐコミュニケーションの場といったところでしょうか。

 

  • トークセッション

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展示場の隣の部屋で開かれたトークセッション。各企業から5人の講演者が登壇し、自社の加工技術の紹介や金型設計の今後の展望などが語られました。

 

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トークセッションのプログラムは上記のとおり。

 

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最初の講演は、オーエスジー株式会社加工技術グループ課長の今泉悦史さん。講演テーマは「最適工具と切削条件のDB化による他社に負けない加工技術」です。

 

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まずは、金属の加工条件など金型加工の中で培ったノウハウをデータベース化することによって、工数の削減、業務の最適化が望めるという話。より高いレベルの製品を作るためには、過去のデータを生かさない手はありません。

 

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さらに、機械のびびり(切削工具の振動で、工具寿命の低下や形状精度が悪くなること)対策について。びびりを抑制することで、工具費削減・品質向上・設備の寿命アップに繋がります。

 

さらに、切削工具に関しては、大径工具は必然的に切削時の接触面が大きくなるため、局所的に切削抵抗が高くなり、びびりを誘発する可能性が指摘されました。しかし、小径工具を使えば接触面が少ないため、切削抵抗が小さく安定した加工が可能になるという説明は、長年の経験やデータに基づく貴重なお話だったのではないでしょうか。

 

さらに今泉さんは、「私に油マニアなので、切削油の話をさせたら長いですよ〜」と笑いを取る一幕も。

 

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2人目の登壇者は株式会社電通国際情報サービス(ISID)、那須田拓二さん。テーマは「ISIDが考える未来予想図」です。

 

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金型加工や製品設計など、加工金型設計の各フローチャートについて、各工程の簡略化、省力化をどう目指すかという講演でした。

 

 

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30分の休憩を挟んで3人目に登壇したのは、曙工業株式会社技術部長の宇野政義さん。テーマは「治具設計から加工までの一気通貫と多種多様な工作機械への対応」。主にユーザー活用事例についてのトークセッションでした。

 

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宇野さんの勤めている曙工業がどのような会社か、サービスのユーザー事例などを惜しげもなくご紹介いただきました。

 

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4人目の登壇者は、ムラテック情報システム株式会社販売統括部長の安枝和明さん。です。テーマは「プラスチック企業における成形情報条件の共通化と生産管理システムの活用 」。主にプラスチック企業におけるIoTの推進事例について解説いただきました。

 

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同社が提供するシステム「Middleware」について、具体的な解説と実際の活用事例がスライドで流れます。さらに今後の意気込みとして、生産管理システムとの高度な連携によって、継続的にプラスチック業界のIT化、IoT化に協力していきたいと豊富を語っていました。

 

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最後に登壇したのは、ISIDの渡邉芳男さん。テーマは「NX新規トピックス及びTSアプリケーション開発ロードマップ公開」です。

 

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NXの新機能トピックスとして各工程に新しく追加された機能について、実際のデモンストレーションを織り交ぜながら解説。ISIDの提供するTSアプリケーションの開発ロードマップについても詳しい説明がありました。

 

時間を延長して4時間という長丁場の中行われたトークセッション。参加者からの質疑応答も活発に行われ、参加者にとっては実りの場になったのではないでしょうか。会場からは時折おおっというどよめきが起こり、登壇者の話に大きくうなずく方も散見されました。

 

 

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こちらは帰り際、入り口に設置されたISIDによるハンディタイプ3Dスキャナーの展示。従来は立体物の構造解析をする際、いちいち人力で計測を行わなくてはならず、膨大な手間がかかるケースも……。しかし、このハンディスキャナを対象物に向かってかざすだけで容易に対象の解析が可能になり、図面への落とし込みも相当スムーズに行えるようになっていました。

 

さっそく手持ちのスキャナーをエンジンのデモ機にかざしてみると、

 

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このように、スキャンデータがすぐにモデリングされました。こんなに対象の構造をデータでチェックすることができます。場所を選ばず、誰でも簡単に3D測定ができるため、遠い現場に持ち込んでの作業できるのは大きな利点です。また、スキャンデータをそのままCADデータに変換できるため、競合他社製品の解析からCADデータのアーカイブ化も短時間で実現するようになりました。

 

金型と加工系の業務生産性と品質向上。多くの事業者が抱えるこの難問をどうやって解決していけばいいのか。今回のコンファレンスでそのヒントを持ち帰えることができた人は、少なくなかったのではないでしょうか。

 

(神田匠/ノオト)

 

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