3D CAD推進プロジェクト プロフェッショナル連載記事

モンゴル国訪問レポート 講演を終えて編

モンゴル科学技術大学での講演

モンゴル科学技術大学での講演を終え、

レストランでモンゴル料理の昼食です。

モンゴル国伝統の「骨占い」をしながら、料理を待ちます。

骨占い(結果は良かったみたい)

モンゴル料理(NOMADSレストラン)

料理の味は、「おいしい!!」

 

「食事がおいしい」というのは、日本人がモンゴル国でビジネスを展開していく上で、大切なことでしょう。
モンゴル国の人が日本で働きたいと考える時も、「日本の食事が合うか合わないか」は大切なことでしょう。

 

おいしい料理をいただいた後、私の講演も聞いていただいていたMr.Magnai氏が役職を勤められているEHLEL ACADEMYを訪問しました。
そこにはたくさんの学生がコンピュータエンジニアリングなどについて学んでいました。3DCGを学んでいる人たちもいました。

 

ここでは、EHLEL Co.,Ltd社としてオリジナルブランドの製品開発も手掛け、デザインから設計は自社で行い、その製造は中国で行うというビジネスを始めているそうです。

 

ネット販売によりそのビジネスも好調だということでした。

EHLEL Co.,Ltd社よりいただいた自社製品(充電ケーブルとイヤホン)

見聞きする限り、今、工業製品の製造工場はモンゴル国国内にはないようです。

しかし、エンジニア教育やモンゴル国外で働く人たちが製造技術さえも学んで、人やモノ(インフラ)のリソースが整えば、モンゴル国国内での製造・生産の可能性がないとはいえません。

 

また、EHLEL Co.,Ltd社のように、開発設計というソフトの部分を確立できれば、製造・生産は国外で行うというようなファブレス型の企業になることも可能です。

単純に労働賃金の優位性だけではなく、モンゴル国のエンジニアが最新の技術を学び、高付加価値なビジネス展開を行っていける可能性があるのだと感じました。

 

現時点で言えば、「学び(学校)とビジネス(企業)が同居する環境」がモンゴル国に存在しています。

学びと企業活動が連携

この後、INSPIRE GLOBAL EXTENSION LLC社に向かいます。

ここには、日本やモンゴル国内の日系企業での就職を希望し、そのどのために日本語を勉強する生徒(社会人・大学生)が、私たちを待ち構えていました。

 

今回のモンゴルツアーの大きな目的として、日本でも有名な企業との面接試験があったのです。
私は面接の予定はなかったので、控室で、その面接を控えた生徒(男女)の皆さんや、日本語教育を行うスタッフのみなさんと代わる代わる3時間ほど会話をすることができました。

 

彼らからは、私に対して、日本についての質問が続きます。
日本の住宅や交通・食事などの生活環境の話から始まり、日本企業の特徴や日本の技術の話に至るまで、その内容は様々です。

彼らは日本に興味津々というよりは、もっと強い関心を持っています。

そこで行われた会話のほとんどは、日本語で成立しましたが、彼らは英語も流暢に話すことができます。
「なんで日本人は英語で会話をしないのですか?」と質問されることもあったぐらいです。

 

ここの生徒の皆さんは、将来のエンジニアになりたくて、モンゴル国の有名大学で学んでいる人たちがほとんどです。中には海外の有名大学で学ぶ人もいれば、モンゴル国内の有名大学を卒業して、既に国内の企業に勤めている人もいました。

聞けば金融系のシステムエンジニアだということでした。
ちなみに、モンゴル国で金融系のシステムエンジニアはエリートだということです。

なぜ、学生も社会人が、日本で働くこと、モンゴル国内の日系で働くことを目指すのでしょうか。

現在、残念ながら、今、モンゴル国には彼らの技術を発揮できる企業は多くはありません。モンゴル国のサラリーマンの平均月収は4万円程度とも言われています。

 

生徒のみなさんと話をする中で、

自分自身が今学んでいることによって日本企業で働きたい

日本企業で働くことで、さらに技術を身に着けいきたい

という姿勢を感じました。

 

彼らにとって、「日本で」「日系企業で」ということに重要性があります。

 

もちろん、「収入」への期待はあるのでしょう。しかし、それ以上にあるものが、
アグレッシブなマインドです。

 

発展途上であるモンゴル国だからということではなくて、彼らには今、自信もあれば、覚悟もあります。

日本に行くなら、片道切符だと決めて、家族と共に移住する覚悟さえ決めている人もいました。

「このマインドを、日本で働く、日本人はどう感じるのでしょうか」

 

既に、モンゴル国の優秀なエンジニアは、モンゴル国から欧米諸国へ進出しています。

そして今、彼らは日本企業で働くことを熱望しています。

 

 

日本では雇用確保が難しいことや、その離職率の高さが指摘されていいます。
今回、面接を行った企業も、日本では有名企業です。
そのような企業でさえ、優秀なエンジニアの雇用確保には苦労されているとのことでした。

首都圏ではまだしも、地方の企業、特に地方の中小企業では、雇用確保は企業活動にとって大きな課題になっています。

 

もし、両者の目的が合致する時、有能な人財(材)をモンゴル国や海外より雇用するということは、これからの選択の一つになると確信しました。

それだけの可能性が、モンゴル国にはありそうです。

 

講演と企業見学、生徒の皆さんとの貴重な体験後、この日はウランバートルから約50kmの場所にある、ゴルヒ テレルジ国立公園にあるゲルキャンプ(TERELJ MOUNTAIN LODGE)に向かいました。工事中の区間もあって、車で3時間ほどの移動となりましたが、雷雨となりました。

 

乾燥しているモンゴル国では、雨は貴重なものであるようです。

「でも、雷雨とは・・・」
満天の星を期待していた私としては、「がっかり」なものとなってしまいましたが、ゲル(日本語訳として家屋の意味、モンゴル語: гэр)に泊まることができたことは貴重な体験となりました。

 

ゲルといっても、私が泊まったところは、放牧民が泊まるものではなく、観光ゲルと言われるものです。テレビも照明も、床暖房までついていましたよ。

 

夜が明けると、昨晩の雷雨が嘘のような空。壮大な山の景色に感激しました。

次回、星空を見ることを楽しみにして、
壮大な大草原、そこに暮らす放牧民の人たちと牛・羊を見ながら、再び、首都ウランバートルに戻ります。

ゲルキャンプ

大草原

放牧中の牛

ウランバートルで、今回の訪問で唯一の休日を過ごします。
市内は、サングラスをかけたほうが良いほど、日差しは猛烈に強いものでした。
大草原からわずかな距離の場所に、近代的なビルが建ち、たくさんの車が行き交い大渋滞となっていいます。

 

デパートには、国内外の多くの商品が並んでいます。
ウランバートルの風景、デパートでの皆さんの買い物をする姿を見ていると、

「確かに、このモンゴル国は成長している」と実感します。

モンゴル国会議事堂前

この日の夜は、ホテルの日本料理店で、お寿司をいただきました。
おいしかったですよ。

モンゴル国は海に面していない内陸国です。そこでも海の魚を食べることができる。物流システムも整っているということですね。
そして帰途、日本に戻りました。

 

モンゴル国渡航前は、不安さえ感じることもありましたが、わずか数日でしたが、その体験によって、帰途には、その不安は消えました。

 

出会ったアグレッシブなモンゴル人との話をしたことを思い出しながら、人材について考えました。

 

  • 優秀な人材、熱心な人たちがそこにはいた
  • 日本との人口比率を考えれば、その優秀な人材は必ずしも多いわけではない
  • 優秀な人材が日本企業(モンゴル国国内・日本)での就職を希望している
  • 優秀な人材を受け入れるには、それに対応できうる受け入れ側の教育と職務が必要
  • 近代的に発展しているモンゴル国を見た

 

モンゴル国では、モンゴル国内にある日系企業に勤めることを希望する人たちもいます。

しかし、現在は、日本企業にとって、モンゴル国に進出することには、例えば、口座は開けるの?会社登記はどうやってするの?といったようにわからないことが多くあります。

中小企業にとってみれば、その手続きには労力を費やすことになりそうです。
いずれは、これらは今後容易になっていくことでしょうが。

 

一方で日本国内は深刻な雇用確保の課題があります。
技術を発展させていく上で、また生産活動の中で、エンジニアが必要です。

 

そこで、モンゴル国(海外)の可能性が出てきます。
単純作業を望むのではなく、高付加価値を創造するエンジニアとしてモンゴル国(海外)のエンジニアへの期待が生まれるのです。

 

  • 満足できる(高度な)業務を与える
  • 受け入れ後の(更に優秀なエンジニアへ成長させる)教育制度
  • 業務や生活に対しての精神的なフォロー

 

これらによって、新たな雇用の形を作ることが可能です。
でも、優秀な人材は限られています。

 

「もし、モンゴル国の優秀なエンジニアに会ってみたい!」という方は、

私にぜひ連絡をください。「一緒に会いに行きましょう。」

 

次回の訪問には、満天の星空も見られることを楽しみにしています。