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月面探査レースからVRまで、「日本ものづくりワールド2017」のユニークなブース探検記

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2017年6月21~23日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「日本ものづくりワールド2017」。こちらのイベントでは、以下4つの展示会が行われました。

 

第29回  設計・製造ソリューション展(DMS)
第22回  機械要素技術展(M-Teck)
第9回  医療機器 開発・製造展(MEDIX)
第26回  3D&バーチャルリアリティ展(IVR)

【※】上記は次回開催のもの。

会場はなんと、東京ドームの約5個という広大なスペース。このため、すべての展示を見て歩くことはできませんでしたが、あちこち歩き回って興味深かったブースをご紹介しましょう。


▼コダマコーポレーション株式会社
http://www.kodamacorp.co.jp/

 

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コダマコーポレーション株式会社は、CAD/CAM/CAEに関するコンサルテーションやネットワークシステムの販売、3次元モデリング、解析等の開発支援サービスなどを提供している会社です。

同社のブースには、同社の技術で作られたジョイントやシャフトなどの様々なプロダクトが展示されていました。こちらは実際に流通している部品ではなく、社員が自主活動としてより難易度の高いパーツづくりを競っているそうです。

 

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一番驚いたのは、こちらの蜂のオブジェ。実はこれ、羽や足を胴体に溶接したのではなく、金属の塊から削り出して作ったものなのです。触覚や手足の細かい部分に至るまで、ディテールが表現されています。細かいモデリングから切削加工まで、高いレベルでやってのける技術力に驚かされました。

 

HILLTOP株式会社
http://hilltop21.co.jp/

 

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HILLTOP株式会社は、アルミ切削加工のプロフェッショナル集団。大型・小型制御装置の開発・構想やデザインなどを手がけています。

そんなHILL TOPブースでとりわけ異彩を放っていたのが、メタリックで近未来的なこちらの機械。実はこれ、人類初の月面探査レース“Google Lunar XPRIZE”【※】に向けて開発された月面歩行ロボット探査機なのです。

 

【※】Xプライズ財団が運営する民間のロボット月面探査レース。Googleがスポンサーとなっており、2016年12月31日時点で打ち上げ契約を確定できたのは5チームだけ。

 

日本のチームとして打ち上げを予定しているのが、民間初の月面探査チーム「HAKUTO」。HILLTOP株式会社は、月面探査機「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」の機械加工部品を提供しているのです。

 

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ブースでは実際に探査機の操縦も行われました。移動スピードは想像していたよりゆっくりでしたが、月面を着実に進むためにセッティングされたそうです。月面レースのレギュレーションでは、今年12月31日までに打ち上げを実施することになっています。さらに、月に降り立った探査車を500m以上走行させながら撮影した映像・静止画を地球に送信しなければいけません。「au×HAKUTO MOON CHALLENGE」がミッションをクリアするその日を、期待しながら待ちましょう!
株式会社MUJIN
http://mujin.co.jp/

 

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産業用ロボットコントローラーの総合メーカー、株式会社MUJINのブースには一際目を引くアーム型ロボットが。従来のロボットシステムはひとつの作業を繰り返すだけでしたが、MUJINが開発したロボットコントローラーは、ロボットに知能を与えることでより複雑な作業を可能にしています。

 

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会場のデモンストレーションでも、ロボットが自身の判断で部品を置く位置を選り分けるなど、従来のロボットにはない知性的な動きを目の当たりにしました。ロボット自身が判断しながら動けるようになると、さまざまな業務においてより一層の効率化が期待できそうです。

 

▼株式会社CRESCENT
http://crescents.jp/

 

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3D&バーチャルリアリティ展(IVR)で見つけたのが、株式会社CRESCENTのVR展示。同社はWEBサイトの運営コンサルティングからデザイン・コンテンツ立案・システム開発などの事業を展開しつつ、自動車の内見をよりスムーズで直感的にするVRを開発しました。

使い方は、まず指先にモーションセンサーと振動センサーを取り付けたグローブを装着。手の甲の機構がモーションセンサーとなって、手の動きを感知します。

 

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そしてヘッドマウントディスプレイを装着。ゲーム以外でヘッドマウントディスプレイを装着したのは初めてかもしれません。市販で流通しているものよりも軽く、快適な装着感です。

 

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デモの体験開始。体験者は、車の運転席に座っている状態から始まります。手を伸ばしてハンドルに触れると指先のセンサーが振動し、本当にハンドルに触れたような感覚が得られます。

 

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シフトレバー、ドアレバーに触れると、またも振動が。だんだんと本当に車の中にいるのではないかという感覚に陥ります。もし車の購入を検討するなら、実際の試乗とほぼ同じ感覚を味わうことができそうです。説明員によれば自動車だけでなく、不動産の物件の内見をVRで行うなど、今後はさまざまな場面でVRが運用されるのではないか、とのことでした。

 

機械からコンピュータまで、最前線の技術が大集合した「日本ものづくりワールド2017」。なかには、目を見張るような驚きや今後のシステム運用に大きな期待が持てるものも数多く見受けられました。来年はさらにどう発展していくのか、近未来のテクノロジーを楽しみにしましょう!